1984/6
#1


ライバル
今、すごく意識しているのは尾崎豊さん。ぜんぜん負けてるけどね。
ステージ見てると、モロにバシッと表現してる。
"ボクは軽いです"なんて、実は重たい。そんな感じで、おれもやりたいんだ。
同じ高校中退だし……でも怒るだろうな、アイドルのくせにって!

おやじ
昔は厳しくて、なんでも一等賞にならないと気がすまないみたいだったけど、
今は、かるくて明るくて……根はやっぱり軽いんだろうね。
おれのかるさは、おやじゆずりなんだ!
おまけにミーハーでさ、喫茶店やってるから、お客さんに"サインあげましょうか"
なんて、やってるんじゃないのかな、きっと。

友だち
高校の友だち、水球の友だち。いるいるいるけど、
友だちにはすごく恵まれてると思う。

進学校だったせいもあって、みんな今は、大学生でしょ。
話は合うけど、"おまえ、年とったなぁ"なんていわれると、
社会人と学生の差を感じちゃうね。

まぁ仕方ないことだけどさ。
でもいちばん頭にくるのは、みんなひとりの下宿生活だから、金がなくなるわけ。
そういうとき、うちに来るんだよね。おれが金持ちだって錯覚してるの。
6畳の部屋に。信じられないよ!

初恋
水球の大会でイタリアに行ったときに、ガイドをしてくれた人の妹さんで、
名前はアレクサンドラ。

カタコトの英語でいろいろ話したり、自由時間にはブティックに連れてって
もらったりしたんだ。

日本に帰るときに、ミラノの教会の前で、別れを惜しんでいたら先輩に
「吉川、行くぞー。」
なんて引っぱって行かれちゃったんだ。
あと一時間、時間があればなぁ!

その後、文通をしていたけど、彼女が病気になり、療養所に入ってから返事が
とだえちゃったんだ。


東京
上京する前は、広島にないものを、何でも見てやれって思ってた。
それで、すぐにひとりで、渋谷に買い物に行ったんだよね。
住所だけを頼りに
さ……。
わかんないよなぁ。だって、今だにテレビ局の場所も覚えられないんだもん!


いっぱいあるけど、とりあえずは、自分のオリジナル曲を作って、
それをアルバムにしたい。

デビューする前はね、けっこう作ってたんだ。それで、スタッフに聴かせたら
「ぜんぜんよくない!」ってんで、おれは頭にきて、やぶりすてちゃった。

今はボチボチ、作り始めてる。この世界(芸能界)じゃ、
自分の曲ぐらい作れないと、
どんどん取り残されていくような気がするからね、
がんばんなきゃ!