『ユー・ガッタ・チャンス』 Monologue
#2


めざしているのは、すてきな不良!

ぼくのことをつっぱっているって言う人がいる。
たしかにつっぱっているけど、そこいらの単なるつっぱりと一緒にしてもらっては困るんだ。
ぼくの場合はつっぱりというよりも、すてきな不良と言ってほしい。

たとえば、同じようにふてくされることがあっても、ぼくの場合にはポリシーがある。
自分の思うようにならないからって、ただそれだけで好き勝手に暴れまわる連中とはまったく違うんだ。
だいたいそういう連中っていうのは、自分がほんとにやりたいことを見つけることができないでいるんだ。
もし見つけたとしても、それに向かって行動できないでいるだけなんだ。

もう一度言うけど、ぼくはすてきな不良をめざしているんだ。

もともと不良っていうのは、良くないことをするっていう意味だ。
つまり、ルール違反っていうことだ。
どんなことだって違反はいけないにきまっている。
違反すりゃ、それなりの罰を受けなきゃならない。

けれど、だ。
時にはその違反が人生にとって必要なこともあるんだ。
もちろん、すてきな違反じゃなけりゃだめだ。
他人に迷惑かけたり傷つけたりすることは絶対に許されないことだ。
そりゃ犯罪だもんね。

じゃ、どんな違反かというと、自分に対して違反することなんだ。
そう、やりたいことをやってしまうっていうことなんだ。
人生に対する冒険だよ。
飽くことのない挑戦だ。
それが、すてきな不良のやることさ。

どうすればできるかって。
まず勇気がいるんだ。
しっかりしたポリシーも必要だろう。
それから、もちろん行動力だ。
この3つがそろえば最高。

変にカッコウをつけることはないんだ。
そうでなくても世の中は形式ばったことばかり。
そんな中で小さくなっちゃってるっていうのがほとんどだ。
そういう連中は、世間が敷いたレールの上をいやいや走っているだけなんだ。
平々凡々な生活を送って、のんびり老後を迎える。
それが当然だと思っているんだ。
どんなレールの上に乗っかっていても行き着く先は同じじゃない。

そんなの我慢できないって言うのなら、一度敷かれたレールをひょいと踏み外してごらんよ。
だってさ、レールを外れてみなきゃ、新しい景色を見ることなんかできっこないんだから。
それまで見えなかった、いろんな物が見えてくるはずだ。

そりゃ、一度外れたレールに戻るのはむずかしいかもしれない。
でも、そんなことを恐がっていたら新しい世界をのぞくことなんかできやしないさ。
『ユー・ガッタ・チャンス』の中の裕司も、どんどんレールを外れてしまうんだ。
もちろん自分からさ。
そこではじめて裕司は悩む。
そして、レールを外れた世界で見失っていた自分自身を見つけて、再びレールの上にもどっていく。
誰の力も借りないで、自分の力だけでレールに戻るんだ。
ここんところが大切だ。
はたして、自分でレールに戻ることができるか。
レールを外れるのは簡単だけど、どんなかたちでレールに戻るかってことも忘れちゃいけないことなんだよ。