『ユー・ガッタ・チャンス』 Monologue
#3


他人に何かを感じさせたいんだ!

たとえば遊びだってそうだ。
ボケーッと遊んでいたんじゃそのうちあきてしまうのは当然だ。
そんな遊び方じゃちっともおもしろくない。
最近つくづくそう思うんだ。
遊びの中にも、何かハッとするようなものを発見する精神が必要なんだ。
何かを発見して、その何かに感じなきゃおもしろくないよ。
 
ぼくの場合、それは人間だ。
一緒に遊んでいる人間の中に、何かを発見するんだ。
どんなことでもいい。
その人間がふと言ったことばだとか動作だとかで、何かズキッと胸に響くものがあれば、それを吸収しちゃうんだ。
いろいろと遊び回っていて、まったく何の発見がないかもしれない。
だからって別にがっかりはしない。
何もない中に何かを見つけようとすることが大切なんだからね。

見つからなかったら、また見つけるために遊ぶ。
きっと小さなものでも、何かしらのことを見つけることができるに違いない。
発見した時の喜びが体の中を強烈に走り回る。
レールの上を走っていては、絶対に味わえない感動だ。
遊びひとつをとってもそうなんだから。

人に何かを感じさせる人間というのは、えらく新鮮な人間だと思う。
ぼくは、そういう人間と遊びたい。
いつまでも付き合っていきたい。
もっと言えば、ぼく自身がそういう人間になれたらすてきだなって思うんだ。

ぼくが、どんどん他の人間に影響を与えていくんだ。
ぼくに共感した人間がどんどんぼくの周りに増えていく。
そんな人たちと付き合えたら最高だ。

もちろん、それはステージを通しても同じことがいえる。
ステージの上でぼくがいつまでもそんな人間でいられたら、こんなすてきなことはない。

そのためには、ぼくはこれからもどんどんレールを外れちゃうかもしれない。
新鮮な人間と出逢い、新しい景色を見なきゃ進歩なんかあり得ない。
人を感動させるステージを生み出すためには、絶対に必要なんだ。

だから、ぼくのこれからのステージをみていて、あれっ、吉川晃司はいったい何をやっているんだとか、
このままどうなっちゃうんだろうって不安になっちゃうことがあるだろう。
でも安心してほしい。
ぼくは、ちゃんと目ざしている所へ向かっているんだから。
どんな遠回りをしても、横道へそれちゃっても、ちゃんと目的の場所へ到着するためにやっていることなんだ。
君はその途中のぼくを見ていることになるんだから、心配しないで、これからどう変化していくのかを見守っていてほしい。

だから、『すかんぴんウォーク』から『ユー・ガッタ・チャンス』へと変化していく裕司の姿も、ぼくにとってはひとつの過程なんだ。
映画を見終わってから、裕司がどんなに変っていくんだろうってどれぞれに感じてくれればいいんだ。
そしてぼくの目ざしている世界を予感してほしい。