■ 1987.1 K2
二人でいても、ふと気が付くと君は、遠くを
見つめていた。どこを見ているわけでもなく、
フォーカスのあわない瞳で、ただとてつもな
く深い瞳で遠くを見つめていた。
君はその深い悲しみを心にしまい込んで、い
つも微笑んでくれていた。
だけど、
どんなに抱きしめていても、僕はそこまで
入り込むことはできなかった。


僕にはその深い悲しみを身代わりに背負う事
はできない。
--だからさよならを決めた。


ただ、だから
無理をした笑顔は、君のせいじゃない。
生まれつき不幸な女だと思わないで。
こんな所で自分の未来を決めてしまわないで。
街に灯はまだ沢山ともっているから。
君のやさしさを理解できる奴も沢山いるから。
いろんな奴が君を見つめているから。
だから、決めないで
君の運命を
君の未来を
君の愛を
君の運命を、生まれつきの悲しいものだと信
じないで。

いつかまた逢えるさ。