尾崎 豊  ・  ファンクラブ会報より(93年)

KOJI KIKKAWA / old fiend

吉川氏:OZAKIが使っていた黒いオベーションを片手に
ステージに登場し、彼との思い出を語った後、
彼のために作った「星の破片」を熱唱して頂きました。



 僕と尾崎はデビューもだいたい同じ位で、
年も一緒なんです。
アーティスト的な立場でのかかわり合い…
例えば音楽の話をしたりとか、
そういう事はこの10年間はほとんどなかったです。
 僕らのような歌い手というのは、
コンサートに来てくれる連中にパワーをもらったり、
エネルギーを放出してもらったりしているんですが、
時々、すごくそれに応えられない瞬間、
自信がなくなる瞬間というのがあるんです。
いても立ってもいられなくなって一人で大酒食らったり、
眠れない夜が続く事もありました。
そんなとき、僕らはお互いに電話したりしてました。
西麻布とかで、二人とも気絶するまで飲んだりね。
 そんな感じだったから、僕は尾崎を10年間知っていながらも、
ヤツのアーティストとしてのすごさっていうのは全然知らないんです。
飲み友達っていうか、お互いに無理できる相手というわけで、
迷惑のかけっぱなしがすごく嬉しいっていう意識がありました。
 例えば学生時代の友達なんかが、社会に入って、どんどん年をとっていく。
お互いの信頼関係を保つには、
今までは一言も言わなくても済んでいた事に、
一言づつ足していかないとコミュニケーションがとれなくなっていく…。
とても悲しい事だけど、現実にこういう事があると思うんです。
僕と尾崎なんかも、残念ながら最後の一年間は、
なんか距離ができてしまって、あんまりぶっちゃけた話もしなくなりました。
今となっては、それがすごく残念です。
 それで、柄でもないんだけど、
彼の思い出を語り合ったときに作った歌があるんです。
たまたま尾崎と個人的な友達で、
僕が歌い手という事で厚かましくも曲にしてしまいました。
この曲を尾崎に捧げる事によって、自分を楽にしたいと思ったんです。