Vol.17  1987.4
#2





3月5日、一年振りにファン待望のNew LP『A-LA-BA・LA-M-BA』をリリースした晃司。
自作曲が8曲も入った、このゴキゲンなLPが出来上がるまでの課程から、
今度のツアーの事までを晃司自身が、自分の言葉で語ってくれました。
このアルバムの中に流れる晃司の音楽に対する考え方や感じ方に改めて、すごいものを発見できると思います。



とにかくカッコイイものを作りたい−−これが僕のコンセプト


−−以前「次回のアルバムではもっとHOTな人間の感情的な部分を唄いたい」と言っていたが、過去4枚のアルバムは否定的だった部分を今回唄っていこうと思ったのは?

晃司 
 前の4枚、というか、特に3作目、4作目(『イノセント・スカイ』『モダン・タイム』)では、感覚的な感情の詞(具体的に景色の見えてくるようなものよりも、もっと直接的な感情のWAVEを描いたもの+全体的にCoolをmindとしたもの)を表現していたのと比べて今回は、それ+生活の中のリアル、リアルな生活観、みたいなものをもっと出したかった。
 もちろんシチュエーションとしては「都会」であってその「コンクリートで囲まれた冷たいスクエアーの中の残響」を歌っていることにかわりはないと思う。
ただ今回はより実生活の中で僕自身が感じた事をそのまま書いたので……例えば「たまには女の子を海にドライブに行きたいな」とか、「トラックを運転している自分」とか、「冷めたサラリーマンのおやじと真面目に口論したこと」とか、そんな部分ですごく"HOT"に感じる人が多いんじゃないかなと思う。


−−周りの音楽で、あるいはミュージシャンで、晃司が影響を受けたり、「こういう音」、「こういうやり方」という意味で注目している人はいますか?

晃司  やっぱり色々な音楽を聴いた中に影響を受けるものはあるだろうけど、基本的な自分の考えは変わらない。
コンセプトとしてはデビッド・ボウイが一番好きなんだけど、今回例えばビリー・アイドルのバックのスティーブン・スティーブス。
彼のギターの「この感じは面白いな」、とか「この音だな」、「これだな」って感じた部分を例えば『Stranger in Paradise』の中の一定のギターフレーズに生かしてみようか!?というように参考にすることはある。
それに自分の思っている事が突然出てくる程、天才ではないと思うし(笑)
 "なんだよ、コイツ、こんな事やって!!"みたいな事が"自分には出来ないかもし
れない"っていうコンプレックス的要素になって次へのパワーにもつながると思うネ。


−−以前の洋楽を意識したサウンドに比べて全体的にシンプルになった、というか「日本のロック−−吉川晃司の個性」みたいなものが今回感じられるが、それは晃司自身の音楽に対する考え方や意識が変わってきたという事ですか。

晃司  いや、それに関しては確かに洋楽を意識してないといえばうそになるが、僕はやっぱりJapaneseですよ。
いい意味でも、悪い意味でも僕にはあんまり音楽のルーツがないから、けっこうジャンル的にもデタラメに聞いてたし、playしてたしネ。
あと洋楽にいいものが多いのも確かだネ。
 それにやっぱり個性が無いと駄目だと思う。
個性っていうのはやはりそいつが表現する事、したい事だから、それが「弱い」ってことは、言いたいことも、あんまりないってことになるしネ。
ただまあ、僕もよく"○○に似てる"とか"○○の真似してる"って言われるけど、それはその人達の持ってる良い部分を自分の中に吸収したいというだけであって、あくまでも自分は自分なんだから。
例えば「デビッド・ボウイが好きだ」って僕が言ったとしても自分にとって彼は神様ではないし。
「ブルース・スプリングスティーンに憧れました」っていうのならそれはそれで大いに結構な事だと思う。
大沢(誉志幸)選手がR&Bであったり、桑田(佳祐)選手がビートルズであったり、という自分が育って来た環境の中に絶対的に離れない音楽があるんだけど僕には何もないわけですよね。
だからその時その時で感じるものを自由な形で表現出来る。
とにかく僕のコンセプトはカッコイイものを創りたい、っていうことだから。