1991/5 ARENA 37℃
#1


フィリップ・マーロウ
(探偵)
 レイモンド・チャンドラーの探偵もの主人公。
カッコイイねェ。
これを読んでから僕はジャック・ダニエルを飲む前に ギムレットを飲むようになった。
 とにかくセリフまわしがね、涙出ちゃうくらい洒落てるんだよ、 皮肉なカッコよさがあるね。
いろんな人が映画に仕上げたけど、 やっぱり原作は越えられない。
 フィリップ・マーロウって本当はホットな奴なんだけど、 それを絶対外へは出さない。
冷たいクールな仕事人を気取ってるんだけど、 ついつい人間味が出たりするところもあったりして。
この男はね、若い男の子にとってのひとつのマニュアルになり得ると思うよ。


アレハンドロ・ホドロフスキー
(映画監督)
 人間が本能的に持っている、"何かを壊したい" "何かを犯したい"とか"盗みたい"っていう、 世の中のモラル上は悪とされているもの。
そういう日常生活とは逆の欲望みたいなものって誰でもあると思うんだけど、 それをコミカルに表現してる人だと思う。
代表作の『エル・トポ』は、コミカルと呼ぶにはちょっと自虐的すぎるけどね。
俺は『ホーリー・マウンテン』がすごく好き。


トム&ジェリー
(アニメ)
 「トム&ジェリー」の中にも車だけしか登場しないようなタイプのも 何本かあるんだけど。
全編共通して、ああいう皮肉とかジョークのセンスがいいよね。
向こうのアニメって見る側もそういうセンスが要求されるから刺激的で好き。
トムとジェリーが本当にいたら、部屋で飼いたいね。
やかましそうだけどね。(笑)


月の女神−引力の恩恵
(女神)
 『LUNATIC LION』を作ってから、引力に敏感になろうかな、と思って。
"今日は満月だから悪いことしていいんだ"って 月のせいにしちゃったりして。(笑)
要するに本能を大切にして生きたいってこと。


ジャン・ポール・ベルモンド
(俳優)
 ゴダールの映画にたびたび登場するフランスの俳優なんだけど。
あのB級さ加減っていうのが好きですね。
 俺は、あそこまで開き直って世の中なめきれないし、 自分も捨てられない。
そういう自分とは逆の魅力にすごく惹かれるんだと思う。
ネガティヴだよね、その辺りは、ホラ、ジム・ジャームッシュなんかが 持つ雰囲気と似てて、俺の解釈だと、ジャン・ポール・ベルモンドとか 「気狂いピエロ」をアメリカ風に表現したのが、ジム・ジャームッシュっていう 気がしているんだ。
 「気狂いピエロ」は10回くらい観てる。涙出ちゃうね……
アメリカのサクセス・ストーリー とかストレートなものも好きだけど、ゴダール作品は何回観ても "減らないキャンディ"みたいな深みがあるよね。


ナスターシャ・キンスキー
(女優)
 一番好きな女優さん。もう、あの唇さえあれば他に何もいらないでしょう。(笑)
あの形のグミを作ってくれたら毎日でも食べちゃう。
"グミ・ナスターシャ・キンスキーの唇型"っての、どう?しかも血の味。
あの人って血とか動物の匂いがするもんね。
 付き合いづらそうな印象があるけど、そういうのがいい、 ボロボロにされたいね。
 一番好きな作品は『キャット・ピープル』。
今回のアルバム作る前にも観たけど、本能とか性…… それによって生きてる。大好きだな。


植木等+小林旭
(歌手・タレント)
小林旭サンの日活時代の臭さと、植木サンの笑かすパワー、 それこそ今、このふたつがひとつになったら最高だね。
 あの時代ってすごいな。だって、ミュージシャンがお笑いやっちゃうんだもん。
だから俺ドリフターズも大好きだよ。
 で、小林旭サンは臭いほどの男の美学があるでしょ。
あれだけだと臭さが鼻について終わっちゃう、みたいなところあるけどね、 そこに植木サンのパワーが加われば、最強だね。


アーノルド・リーバー
(作家)
『月の魔力』という本を書いた精神医学博士。
今回のレコーディングの時にこの本を読んで、すごく感化された。