1992/8 Daily AN
#2


芝浦・横浜  煮つまったりした時だけですけどね。
車にギター乗っけて、曲作ったりしますね。
疾走感の欲しい曲なんかはやっぱり車の中。
バラードは芝浦の海辺に行って、横浜とか。
小林旭さん状態で曲作ってますよ。
けっこう海辺好きですからね、よく行きますよ。
360°街が見渡せる場所って好きなんですよ。
やっぱりね、腹が立つんですよ高いビル。
自分より目線の上にものがあると(笑)。
 でも芝浦とか、アベックいますよね、どっから出て来たの?って所から出て来るもんね。
一緒に盛り上がっちゃう事もありますよ。
"僕たち来月結婚するんですよ、何か歌ってくださいよ""OK"とかって。
そんとき歌う曲?
ちょっと恥ずかしくて言えない(笑)。


ニューヨーク  ニューヨークに対する憧れはずっとあって、やっぱ世界の首都かなっていう。
道路歩いてるだけでダイヤモンド落ちてんじゃないかって胸踊る気分ね。
最初行ったのは19でしたけど、その時は逃亡願望もあった。
鼻クソほじりながら街歩いて物考えたいなとか、その当時はそうはいかなかったから。
人が見てると思ったら肩で風切って歩いてたから。
 いやもう僕にとってはビタミン剤ですね。
今だに心が疲れるとN.Yに行きたくなる。
何がビタミン剤かって言うと、最初は向こうで出会った同世代の連中。
ダンサーとかコックとか露天商、色々いますけど、みんなパワフルで、サクセス・ストーリーを夢見てて。
規模が違うんですよ、ヨーロッパから国捨てて来てるとか。
で、明るくてね。
すごいパワーをもらったかな。
ま、そういう所から始まってね、ニューヨークは今だに刺激的です。


コルベット348  とにかく僕はスピードが好きなんです。
風を追い越したい願望。
ウチの親父の弟がバイクのレーサーで、ガキの頃から家にバイクがあったし、高1で免許取ってカワサキのGPZ乗ってた。
やっぱコーナー攻めんのって人生の縮図だと思う。
そこでアクセル吹かすかブレーキ踏むか、みたいな所に男の美学っていうんですか?感じる。
それ攻めるのが好きでね。
今は車、コルベット乗ってんだけど、流石アメリカ人が作ったなっていう雑さ加減が可愛いくてね。
欠陥車なんですよ、コーナー回れない。
それでもこないだ三宿の交差点でコーナー攻めて曲がれなくてツブしちゃいました(笑)。
だけど、俺よくブッつけてフロント割れてても放っといて走ってるけどフェラーリ乗ってる仲間からすっごい怒られるの。
"お前は車愛してない"って。
俺は別にフェラーリがステータスとして欲しい訳じゃないし、風を追い越す友であって、ピカピカに磨いてみんなに見て下さいなんて思わないんだけどね。
そういう人達には嫌われてます(笑)。


デヴィット・ボウイ
ロバート・パーマー
 ボウイは憧れでもあった。
ないものねだりでね、僕は筋肉質でゴツイ体つきだけどそれに比べてボウイとかデヴィット・シルビアンの女性っぽい感じ、憧れた時期ありましたね。
ロバート・パーマーは、いい意味で音楽をナメてるなって思わせてくれる所が好きです。
ニクイな、と思う。
全然違うハードロックとソウルを結びつけたり組み合わせて遊ぶし。
カヴァーもね、すごいニクイ、アレンジしてくれる。
マービン・ゲイの違う2つの曲くっつけてひとつにしたり、それはもう原曲に対して失礼もはなはだしい。
よくそんな事出来るなって思うんだけど。
ところがそれがカッコイイんですよね。
ハードロックをスーツで歌うとかちょっとハズした美意識も粋だなって。
"まがいもの"って言うんですか?
俺も、本物のまがいものでいられればいいかなって思う。
黄色い体にしか出来ない事もあるし、黄色い体には出来ない事もあるし。
黒をやったらあんなに柔軟でスプリングの効いたマネできないし、白のパワー全開ってのもできないけど、刺身定食とハンバーガー食ってる俺達黄色しか出来ないことをやればいいな、と。