TAKE IT EASY Monologue
#1


民川裕司は最高だった−−


吉川晃司


 映画を見てくれて、どうもありがとう。
 民川裕司っていうのは、本当にオレの夢であり、
いつも何かあった時、助けてくれる奴で、すごく頼りになる奴でした。
映画の台本を読んでいても、「アー、なんてカッコイイ奴なんだろう」、
「なんてステキな奴なんだろう」、「どうして、こんなふうにできるんだろう」
って思って、いつも、自分のやりたいことなり、夢なりを、
先に民川裕司でつくっていた、演じていたわけです。
そして、早く、オレもこいつに一歩でも近づかなきゃいけないなって、
やっていました。
 本当に、今まで、人に憧れるっていうことがなくて、
例えば、野球選手の原辰徳さんが、すごいことやったら、
オレだって野球をやれば、あれぐらいのことできるよっていう
変な空自信、まったく100%空自信なんだけど、
そういうふうに、すぐ思ってしまうところがあるんですが、
実際、民川裕司には完敗でした。
いつも、そう思っていました。
 今回の3本目で、「民川裕司」モノは終わりになるんですが、
オレがすごくよかったなって思うのは、「すかんぴんウォーク」から
「ユー・ガッタ・チャンス」「テイク・イット・イージー」とやって、
「テイク・イット・イージー」の最後のシーンが、
「すかんぴんウォーク」の一番最初のシーンに戻っている、
すなわち、3本の映画は一回転して"1本の輪"になっているんです。
 3本やってわかったのは、人間っていうのは、たぶん、
頑張っていろいろ練習したり、勉強したりして、何かを創って、
創りあげたら、また、それをぶっ壊して一から始める、
そうすることによって初めて、いろいろに成長していくのではないかっていうことです。
やはり、いつも口にするんだけど、たとえ、それが、自分にとって
栄光であれ何であれ、過去のことは過去のこととして、
気持ちに溺れないで、一度、自分で創りあげたことかもしれないけれど、
それをぶっ壊して、裸になって、また新しい一歩を踏み出す気持ちで
やらないと何もできないんじゃないかって、自分では思っています。
 そういう意味で、この3本の映画はいですね………。
できれば3本続けて見てほしいと思います。
そうしたら、何を言いたかったのか、わかってもらえると思うし、
それをわかってもらえたら、他に言うことはないですね。
 とにかく、民川裕司は最高だったと思います。
オレも負けないように頑張りたい。
本当にどうもありがとうございました。