TAKE IT EASY Story
scenario #19

倉庫街の路上(B)
     両側をレンガで囲まれた細い路地。
     仲根に案内されて裕司がくる。
     レンガのへいに非常階段がかかっている。
仲根  「(うなずいて)俺が青井のジムやめて東京出るって言った時に、
      一度つれこまれたことあるんだ」
     仲根、階段をのぼっていく、続いてのぼる裕司。
     2人の男が階段をよじのぼっていくのを路地の角から見ている影
     −−かえでだ!


青井のアジトの建物
     天窓を開けて降りてくる仲根と裕司。
     階段を降りてくる2人。
     仲根、裕司の肩をポンと叩いて別方向へ。
     裕司、ドアをけとばす−−開いた。


青井のアジト
     部屋というよりも広い倉庫のようなスペース。
     高い天井。
     奥には防音設備のととのった室内射撃練習場。
     標的のトロッコが動いている。
     壁には猟銃が何丁か並んでかけてある。
     他には、無線室、ビリヤード台……。
     かったるそうにピアノが聞こえてくる。
     室内射撃練習場に青井の姿。
     裕司が入ってくる。
青井  「何しに来たんだ、こんなところへ」
     青井、向かって歩いて来る。
     銃で標的を打つ。
     別室に麻弓−−「!!」ピアノの手が止まる。
     ハッと振り向く麻弓。
青井  「早くポンコツバイクで出ていったらどうなんだ」
     麻弓、駆け出てくる。
裕司  「サイドカーでのひとり乗りにはもうあきたんですよ。
      麻弓、つれてゆきます」
麻弓  「……」
青井  「どこへ?」
     麻弓、青井と裕司を見る。
裕司  「ニューヨーク!」
麻弓  「……」
青井  「どうするんだ、麻弓」
     麻弓、一瞬ためらうが、裕司に歩み寄る。
     青井、苦笑でうなずく。
     2人に銃を向けてかまえる。
青井  「私の信念は1日や2日で築いたもんじゃないんだよ。
      若気の至りでねじ曲げてもらっちゃ困る」
裕司  「−−」
     麻弓をかばう。
麻弓  「−−」
     静止する時間
     その時、いつの間にか青井の背後にしのびよった仲根、
     トロッコのかげからとび出す。
仲根  「社長、久し振りだな」
     仲根、羽根の入った袋をまきちらす。
     転がる青井。
     手もとが狂い、天井へ向けて発砲。
     逃げる裕司、麻弓、仲根。


アジトの表
     出てきた3人。
麻弓  「あ、ちょっと待って」
     3人、鉄の扉を閉め、鎖をかける。
     のぞき口から青井のぞく。
青井  「麻弓、待て」
     3人、逃げていく。
青井  「待つんだ!」
     3人が角を曲がった時、銃が壁に当る。


街外れの路上
     サイドカーに乗る裕司と麻弓。
     仲根はトラクターへ。
麻弓  「完璧おこらしちゃったみたいね」
裕司  「30過ぎても見境いつかない人らしいからね」
仲根  「お前ら2人は空港から東京へ高飛びしろよ」
裕司  「お前どうする?」
仲根  「あやまる」
裕司  「バカ!」
     サイドカー、トラクター出ていく。
     かえでが飛び出してくる。
かえで 「麻弓!行かないで!」
麻弓  「−−!」走り去る。