TAKE IT EASY・EXTRA Story

scenario2 #26
第四稿(月刊シナリオ・シナリオ作家協会版)

町の路

     運転する裕司。
     そのヘッド・ライトのはるか先に、誰かが立つ。
     動かない。−−かえで。
     その鋭い眼差。
裕司  「……」
     憑かれたように直進する。
     かえで、動かない。
     サイドカーが近づく。近づく。
     かえでが、ニッと笑って脇に飛びのくと同時に、裕司も急ハンドル。
     すぐ脇の壁に激突するサイドカー。
     ポーン!はねとぶ裕司。
     全身を強打して横たわる。
     呆然と立つ、かえで。
     裕司、苦し気に立つ。
裕司  「……行けよ、早く。……邪魔だよ」
     かえで、フラフラと夢遊病者のように去る。
かえで 「大変。救急車呼ばなきゃ」
     幼い狂気と混乱と−−。


舗道

     裕司、大きく呼吸しながら、痛みをこらえ、よろめきながら歩く。
     ドリンクの自動販売機。
裕司  「ビール欲しいね。……コーラは勘弁してよ」
     突然、笑う。
     かと思うと、街路樹に凭れて呆けたような顔になる。
裕司  「つみき、……大したカンだな……だけどしんどいぜ、
      スターってのは死ぬまで絵になってなきゃいけねェンだ」
     ヨロヨロと歩く。
     その向こうに、海が見える。
     埠頭。
     裕司、力尽きて、倒れた。
裕司  「冷てェなァ……ヒヤッとして気持ちいいけど」
     ガクッと意識を喪う。
     が、その指だけは、先の方へ先の方へ這おうとする。
     そのすぐ先の海。暗い海。
     突然、大量の光が溢れる。
     倒れたまま動かない裕司や埠頭が眩しい程の光につつまれる。
     上空から、ゆっくり円盤状の光の洪水が舞い下りてくる。
     その圧倒的な光で、やがて画面は純白になる。


純白の画面に、テーマ曲がせりあがる