TAKE IT EASY・EXTRA Story

scenario2 #25
第四稿(月刊シナリオ・シナリオ作家協会版)

同・外

     飛び出してきた裕司と仲根、銃を構える。
     ストップ・モーション。
     十数発の銃声が響きわたる。
     ストップ−−解除。
     生きている裕司と仲根。
裕司  「弾出ないじゃないよ、これ」
仲根  「それより何で生きてるわけ?」
     二人を遠巻きにしている青井、健次、和人、圭吾ら。
     全員、銃を上に向けている。
     怪訝な顔の、裕司と仲根。
     −−一台のパトカーが停車している。
     池谷がゆっくり下りてくる。
     ブラブラと見回り風に近づく。
池谷  「なんか、変わったことなかった」
仲根  「−−別に」
池谷  「警察に届け出るようなことは?」
仲根  「こっちにゃないけど、町でBARのアルバイトしてる警官いますよ。
      取り締まって下さいよ」
     池谷、頷いて、青井の傍へ。
池谷  「(囁く)仙台のヤクザが五人、ウロウロしてます。
      そんな時に鳥撃ちゴッコはないでしょ」
青井  「……プロだね」
池谷  「お互い。……私情は禁物」
     青井、外に出てきた麻弓を見る。
麻弓  「……」
青井  「……仲根追い出して、いつかここにカーネギーホール作るから!
      それまで修行積んでこい!」
     笑う、裕司、麻弓、仲根。
     青井ら、ジープやバイクで去ってゆく。
池谷  「(麻弓に)おやじさん探してるぞ」
麻弓  「(頷いて、裕司に)帰って荷物とってくる。どこで待ってようか」
裕司  「決まってるだろ。一番安全な場所」
     と、池谷をこなす。
     肩をすくめて、パトカーに乗り込む。
     池谷と共に去る。


同・木造りの家の中(夜)

     裕司、残していたバッグに荷物を詰める。
裕司  「いつニューヨーク行くんだ」
仲根  「久美ちゃん、口説いてから」
裕司  「……永久に無理かもな」
仲根  「大丈夫だ。コーチが良かったもんな」
裕司  「(微笑)じゃな」
仲根  「あばよ」
     出てゆく、裕司。
     サイドカーに乗る。
仲根  「お前、結局死ななかったな」
裕司  「……いつか死ぬさ」


かえで

     街頭に立っている。
     大きなバッグを持った麻弓が、道を横切ってBAR「K・CAN」
     に入るのが見える。
かえで 「……」


町への道を爆走する裕司のサイドカー


BAR「K・CAN」
     カウンターに坐った麻弓。
     愛する者を、ひとり待つ。
     傍に、大きなバッグ。
     バーテンの池谷が、暇そうにグラスを磨いている。