TAKE IT EASY・EXTRA Story
scenario2 #24
第四稿(月刊シナリオ・シナリオ作家協会版)
BAR「K・CAN」二階 銃器等の戦闘準備をしている青井、健次、和人、圭吾ら。 隅で、かえでがジッと見ている。 健次 「青井さん。こういうの、遊びを越えてるんじゃないですか」 青井 「今度な、射撃クラブての作るんだ。最近マンネリだからな。 町の刺激も。腕上げるのは動く標的が一番」 健次ら、"かなわねェ"といった調子で苦笑し、せっせと銃器を磨く。 |
同・一階 一人で閉店の準備をしている池谷。 二階への階段をチラッと見て、鼻唄を歌う。 |
牧場・全景 |
牧場・木造りの家の中 ガラス窓から外を見ながら、戦闘準備?!している 仲根と裕司、麻弓。 裕司 「今度はあいつらも本気でくるだろうな」 仲根 「ああ。だけど、俺は遊びだ」 裕司 「腕、やられちまったら、ヤバイぜ」 仲根 「それでもいいよ。こっちいったん帰ってきて一年たつけど、 けっこう楽しかったからからな」 裕司 「人生、道草か」 仲根 「ああ。夢は夢でな、大事にして。シャカリキになってもしょうがない」 裕司 「……」 仲根 「十二戦目、俺が試合する前さ、控え室で、相手の黒人倒すって 念仏唱えてた。何も見えなかったよ。 そうしたら隣の控え室で、えれェ賑やかな音聞こえるんだ。 あんまりうるせェから覗いたら、その黒人がマネージャーとシラーッ として踊ってんだよな。これから試合するって雰囲気じゃ全然なかった。 ……そん時、もう俺の負けよ」 裕司 「……それで、遊びか」 仲根 「お前もけっこう遊べたみたいな」 裕司 「そうかい」 仲根 「いい顔になったよ」 裕司 「もともといい顔だ」 仲根 「最初きた時はギラギラしてるだけで、なんか……ゆとりがなかったな」 麻弓 「そうそう」 裕司 「会うとホッとするやつ、周りにいなかったからな。 (仲根に)お前に会うとホッとする。ナイスミーティング」 麻弓 「私は?」 裕司 「……会うたびにナイフ向けられるみたいだった」 麻弓 「けっこういじめたクセに」 裕司 「(微笑)……顔を合わせた時にホッとさせたり、会う前からドキドキさせたり ……そういうの自然に出せるのがアーティストだと思うんだ。 ……(二人に)会えてよかったよ」 麻弓 「北海道ってヘンな人種ばっかりいるからね」 裕司 「ニューヨークなんかもっとすごいぜ」 麻弓 「やっぱりニューヨーク」 裕司 「当然。俺も行くぜ」 仲根 「俺もあっちのライセンスとる」 裕司・麻弓 「おっトゥ!」 仲根 「三人揃って恥かき道中かよ」 笑う、三人。 その時、バシッと音がして、窓ガラスが砕け散る。 銃声。 次々に銃弾が撃ち込まれる。 身をひそめる仲根、裕司。麻弓。 仲根 「本気も本気だな」 裕司 「ニューヨーク行く前に」 麻弓 「あの世行きよ」 一人がスッと頭を上げるとたちまち銃撃。 仲根 「お前、こっち来りゃ死ぬって言われたんだろ」 裕司 「ああ。何度も死にそうになるけどな。なかなか当たらないのよ。 顔だけ宇宙人の予言は」 麻弓 「何、それ」 敵がさらに近づいてくる。 仲根 「どうする」 裕司 「どうせなら、カッコよくきめたいな」 仲根 「……OK」 仲根、這うように別室に去る。 みつめあう、裕司と麻弓。 麻弓 「短いつきあいだったね」 裕司 「長いお別れになりそうね」 麻弓 「もう一度、ユーの歌、聴きたかったよ」 裕司 「……聴かせてあげる」 麻弓 「−−え?」 裕司、麻弓を抱きしめ、唇を奪う。 一方的な激しい口づけ。 麻弓、驚きと一瞬の陶酔で気を失う。 ビックリして麻弓を支える裕司。 カッコよくきめたはずが逆にうろたえる。 裕司 「ね、……おい……麻弓、マイったァ」 仲根が這って戻ってくる。 裕司 「すごいテクニックだろ。キスってのはこんな風にやるんだ」 仲根 「馬鹿。もともとドンパチでビビってる時にお前に抱かれたから 安心して眠ったんだ」 裕司 「あれ、お前そういう屁理屈を」 仲根 「俺なんか、最近ハンバーガー口につけるだけで気喪うもんね」 裕司 「この!ボクサーか、お前ボクサーか!」 仲根 「(二丁の銃を出して)きめるぞ。おやじが昔使ってたやつ」 裕司 「昔っていつ」 仲根 「二十年前」 裕司 「大丈夫か、おい」 仲根、ドアの脇ににじりよって、立つ。 裕司もドアの傍に立つ。 二人、目と目で頷き合う。 仲根 「明日に向かって撃て」 裕司 「俺達に明日はない」 二人、ドアを蹴破って、飛び出す。 |