TAKE IT EASY・EXTRA Story

scenario2 #23
第四稿(月刊シナリオ・シナリオ作家協会版)

同・二階

     青井が執務している。
     隣の開放されたドアの向こうが、プライベートルーム。
     ピアノの前で、麻弓がかえでの発声の練習につきあっている。
麻弓  「(元気なく)……もうやめよう。ごめんね」
かえで 「いいよ。麻弓がこの町にずっといてくれるだけでいいんだ」
麻弓  「……」
かえで 「私(ぼく)がライブで歌うようになったら、聞きにきてよ。
      青井の叔父さんと」
     外で、バン!とドアの開く音。
青井の声 「よォ!元気そうだな」
麻弓  「−−」
     ある予感。
     出口に向かう。
     裕司がいた。仲根がいた。
麻弓  「−−」
裕司  「……」
     裕司、麻弓に歩み寄る。
     青井が立ち塞がる。
青井  「用件は?」
     いきなり裕司の鉄拳が炸裂する。
     ふっとぶ青井。
     反撃に出ようとするところを、仲根が青井を制止する。
仲根  「久しぶりだね、社長」
青井  「お前よりいいパンチもってる」
仲根  「久美ちゃんのハンバーガーが効いたのよ」
     裕司、麻弓の腕をつかむ。
裕司  「カーネギーだろ、行く先は」
     有無も言わせず麻弓を引っぱってゆく。
     かえでが呆然と見ている。
青井  「麻弓!」
麻弓  「……」
青井  「お前は俺の傍にいるのがベストなんだ」
     麻弓、貰った指輪を投げる。
麻弓  「ありがとう。……アイ・スタンド・アローン」
     裕司と出てゆく。
     仲根、青井に微笑して出てゆく。
     無線に歩み寄る青井。


同・下の路上

     裕司、麻弓をサイドカーに乗せる。
     仲根は、自分の改造トラクターに乗り込む。
     かえでが迫ってくる。
かえで 「麻弓!」
     麻弓、やさしく微笑して手を振る。
     かえで、憎悪の目で裕司を見る。
裕司  「……バイ!」
     スタートする。


国道

     ひた走るサイドカー、改造トラクター。
     ニ差路。
     『空港』方面へ向かうサイドカー。
     小型トラックもつづこうとして、別の方面(牧場)へ向かう。
裕司  「−−?!」
仲根  「あいつら、来るの待ってるよ。遊んでやんなきゃな。
      じゃ、あばよ」
     走り去る。
     裕司、迷う。
     サイドカーの麻弓を見る。
麻弓  「もう決めてるんでしょ」
     裕司、ニヤッと笑って、Uターンして仲根のあとを追う。