TAKE IT EASY・EXTRA Story

scenario2 #22
第四稿(月刊シナリオ・シナリオ作家協会版)

ハンバーガーショップ

     「ありがとうございました!」と、カウンターの山田久美が
     大量の持帰り(テイクアウト)パックを渡す。
     客は仲根。
仲根  「どうも。……あの」
久美  「はい?」
仲根  「ああ、……今度……ええ……チキンナゲット、あと四つ」
久美  「チキンナゲット、四つですね。少々お待ち下さい」
     仲根、上気したまま久美の後ろ姿を見守る。
     そこへドカドカと健次や和人、圭吾らが乗り込んでくる。
     他の客が眉をひそめる。
健次  「あいつ、どこいるんだ」
仲根  「あいつて何だ」
健次  「(低く)民川だよ」
仲根  「あ?!あいつ、東京に−−」
健次  「戻って麻弓探し回ってるてェじゃねェか。俺ン所にあった
      サイドカーもなくなってる」
仲根  「なんでまた?」
健次  「(大量のパックをこなして)やつのエサだろ」
仲根  「(低く)馬鹿。牛にくわせんだよ。うちのはアメリカ産だからな」
健次  「どこにかくまってる」
仲根  「こっちがききてェよ。表へ出ろ、どういうこった、それ」
久美  「お待ちどうさま!チキンナゲット四個、ありがとうございます」
仲根  「(一転して明るく)あ、どうも」
     その隙に健次ら出てゆく。
仲根  「ちょっと待て」
     と追おうとする。
久美  「お客様!」
仲根  「はい?!」
     と振り返る。
久美  「(はにかんで)……あのォ」
仲根  「−−は?」
     ドギマギ。
久美  「ちょうど千円になりますが」
仲根  「ア、……ア、どうも」
     仲根、皺くちゃの千円札を置く。
久美  「毎度ありがとうございます。またどうぞ」
     仲根、手にもちきれないほどのパックをかかえてスゴスゴと出てゆく。


同・表

     仲根が出て来て、健次らを探す。
     物陰から、−−裕司が現われる。
裕司  「よォ、減量中のボクサーがそんな食っていいのか」
仲根  「この野郎!(パックを捨てて)東京で地下鉄乗ったんじゃねェのか!」
裕司  「モグラか、俺は!」
     ホッホーと、二人、両手を叩き合って再会を喜ぶ。


BAR「K・CAN」・外

     二階への外階段をそっと登ってくる仲根と裕司。
仲根  「俺も一度やられたこと、あるんだ。青井のジムもやめて東京出る
      って言った時な。絶対あの部屋だ」