TAKE IT EASY Story
scenario #21

仲根の部屋
     見ている3人。
麻弓  「ライフル持って来たわよ」
仲根  「社長もムキになって」


門の前
     青井、ハンドマイクで呼びかける。
青井  「麻弓、お前、いつから夢喰って生きるようになった!
      お前はバクじゃないだろう。サラブレッドじゃなかったのか。
      戻って来い!早く出て来い」
     ハンドマイクを放る。


仲根の部屋
     麻弓、裕司のところに歩み寄る。
仲根  「なあ、お前ら2人でニューヨークへ行くんだろ」
裕司と麻弓 「?」
仲根  「あのなあ」
裕司と麻弓 「??」
仲根  「(思い切って)俺も一緒に連れてってくれよ!
      マジソン・スクウェアで、これ(ボクシング)やりてェんだ」
     裕司、ふいに笑い出す。
裕司  「バクが3匹」


丘の上
     通路を走る仲根に向けて、
     引き金を引く青井。
     バーン。
     その時、バシッと窓が砕ける。
     銃声。
     身をふせる3人。


門の前
     青井、弾を詰め替えて、
青井  「30過ぎの男の言うことがどうもよくわからんらしいな。
      (銃をかまえる)
      若気の至りじゃすまんことになるぞ」
     バーン。


仲根の部屋
     うずくまる3人。
     麻弓、もそもそやって突然ブラジャーを出す。
裕司  「何これ」
麻弓  「白旗!」
裕司  「バカ!」
麻弓  「だってこのままじゃ死んじゃう」
仲根  「お前ら、もうちょっと生きてろ」
     と言って、部屋から出て行く。
     バーン。
     弾は遠くはずれる。


通路、たまをよけながら走り抜ける仲根


牧舎・ボクシングコーナー
     仲根、走ってきて、たてかけてある古いロッカーをあける。
     何かを探す。
     あった!−−ほこりとサビにまみれたボロボロの猟銃が2丁。
     仲根、2丁の猟銃をかかえて、部屋の方へ走る。


仲根の部屋
     待っている裕司と麻弓。
     仲根が戻ってくる。
     裕司、仲根の銃を見て−−「イェーッ」。
     仲根、ウィンクして1丁を裕司に渡す。
麻弓  「ね、ちょっと、本気で撃つ気」
     裕司、銃をしげしげと見て、
裕司  「本気も何も、何これ?
      (撃鉄)がサビついてるじゃない。銃口はクモの巣」
仲根  「いいんだよ、これで、立ち上がって、撃つマネすりゃ、
      あっちもそうバンバン撃ってこないだろ。

      昔、これでヒグマが逃げた」
     と言って銃を構えて立ち上がる。
     バーン。
     バーン。
     青井が撃った。
     倒れるようにひっこむ仲根。
裕司  「撃ってくるじゃないよ」
麻弓  「当り前よ。ヒグマじゃないんだから」
仲根  「今度はお前の番だぞ」
裕司  「そんなこと言ったって、弾出ないのに」
     裕司、立ち上がって、引き金をひいた。
     バーン。
     丘の上の一団が、あわてて身をふせる。
裕司  「(ボーゼン)」
仲根  「(???)今、引き金ひいた」
裕司  「(うなずく)」
仲根  「それ、弾でる?」
裕司  「(首をひねる)」
仲根  「貸してみろ」
     仲根、裕司から銃を受けとると、丘の上に向けて引き金を引く。
     バーン。
     仲根、裕司、顔を見合わせキョトン。


丘の上
     身をふせた青井が立ち上がる。
     青井も驚いている。
     青井の目が、牧舎のサイロの下に向けられる。
     牧舎のサイロの陰から人影−−警官の制服を着た男、池谷だ。
     銃口を上にあげて、3発の威嚇発砲して、ゆっくりと青井たちの丘
     に歩き出す。