TAKE IT EASY Story
scenario #22

仲根の部屋
     窓から池谷の登場を見ている3人。


丘の上
     池谷、青井の至近距離まで近づいてくる。
     次第に銃口を空から青井たちの方へおろしてくる。
池谷  「青井さん、ああいう若い連中を力でねじふせようとしても無駄だ
      ってことを
知ってるのは我々のはずでしょ」
青井  「よく言うぜ、警察権力が」
     青井、静かに笑う。


仲根の部屋
麻弓  「警察なら似合うって言ってたけど」
裕司  「てっきり冗談だと思ったよ」
仲根  「俺も」


門の前
     池谷とジープに乗り込む青井、
青井  「かえで……かえで!」
     かえで、サイドカーの陰から顔を出す。
     近づいて来る。
かえで 「許さないよ、青井さん。麻弓を絶対連れ戻すって言ったじゃない。
      約束が違うよ」
青井  「かえで、もう少しものわかりのいい子だと思ってたよ」
かえで 「あんたたちがものわかりよすぎるんだよ」
     青井、仕方がないといった様子でジープ発車させる。
     戻っていく一団。
     見送るかえで。
     手に、スパナ握りしめている。


ポーチ
     丘の陵線を見ている裕司、麻弓、仲根。出て来る。
裕司  「行っちゃったよ」
仲根  「判定勝ちか、気に入らねェな」
     裕司、ふと目を止める。
     麻弓も見る。
     ひとりポツンと残されたかえで。
     麻弓−!!
     悲しく見つめるかえで。
     見つめ返る麻弓。
     裕司、麻弓を見る。
     かえで、振り返り丘の方へ駆けて行く。
     麻弓、裕司を見る。
     麻弓、裕司に、目でサヨナラ。
     うつむいて歩き出す。
裕司  「麻弓……」
     麻弓の後を尾いて行く。


牧場・外
     歩く麻弓。
     ゆっくり追う裕司。
裕司  「君があの子の夢だってことは判るよ。でも……」
麻弓  「大丈夫、もう他人の夢の犠牲にはならないから」
裕司  「じゃ、どうして」
麻弓  「あの子に夢見させたのは私よ。
      虹みたいに勝手に消えるわけにはいかないじゃない」
     裕司言葉につまり、麻弓の頬をぶつ。
裕司  「これじゃ俺、かっこつかねェじゃないか」
     裕司いきなり抱きしめ、熱い口づけ。
麻弓  「夢行きの切符、キャンセルしないで」
裕司  「ニューヨークで待ってるよ」
     2人、別れて行く。
     帽子で顔をおおっていた仲根、帽子を上げる。


丘の道
     トボトボ歩くかえで、手にネジを持っている。
麻弓の声 「かえで!」
     ハッと振り返るかえで。
     遠くに麻弓の姿。


牧場・入口
     大きな虹が出ている。
     サイドカーに乗り込む裕司。
     見送る仲根。
仲根  「せっかく一緒に乗る女見つけたのにな」
裕司  「その代り、素敵なもの乗せられたよ。最高の気分!」
仲根  「なあ、また会えるかな」
裕司  「もちろん、マジソン・スクウェアでな」
     裕司、エンジンかける。
裕司  「じゃ、な」
     仲根、ヘルメットを持って、
仲根  「かぶってけよ。危ないぜ」
裕司  「似合わないんだ」
仲根  「いいから、かぶれ」
     裕司、ヘルメットかぶる。
仲根  「いい顔になったよ。初めてここに来た時よりずっと」
裕司  「元々、いい顔です」
     裕司、スタートさせる。
     去って行く。


丘の道
     かえでと麻弓。
かえで 「何で?一緒に行ったんじゃ」
麻弓  「どこにも行かない、道を決めるのはわたしよ」
かえで 「あいつは」
麻弓  「行っちゃった」
かえで 「サイドカーで?」
麻弓  「うん」
     ハッとなるかえで。
     走るサイドカーのネジがはずれている。
     全力駆け出すかえで。
     不安に見送る麻弓。