ユー・ガッタ・チャンス Story
scenario #16

[86]島
     青空にテラカップの旗が次々と掲げられてゆく。
     続々とスタンバイするサーファー達。裕司達、浜辺で沖
     を見ている。
     帆や他のパーツは備わっているが、ボードだけが到着
     していない。
セリカ 「……(気がきでない)」
        ×  ×  ×      
     モーターボートを飛ばす関川。


[87]浜辺
     すでにギャラリーで一杯。
     スタンバイを終えた他のサーファー達はもはや、スター
     トを待つばかりだ。
     ふいにターボが歓声を上げる。
     沖から一隻のモーターボートが島へ向かってくる。
裕司 「−−−(安堵して)」
        ×  ×  ×      
     関川、浜辺にボートを着け、裕司にサーフボードを渡す。
     力強くうなづく裕司。


[88]スタート
     ずらり並んだウィンドサーフィン。
     花火の音を合図にスタートする。
     歓声をあげるギャラリー達。
関川 「(裕司に大声で)ユーガッタチャンス!!」
     沖へ向けてセイリングするサーファー達。
     繊細でダイナミックなテクニックの数々。
     中には早くもリタイヤして、伴走船に救助される者もい
     る。裕司はマイペースだ。
     その脚力−−−。
     その筋力−−−。
     その眼差−−−。
間島の声 「レールを外れるのは簡単なんだよ。だけど、元の
     レールに戻るのが大変なんだ」
     裕司、ひたむきに自分の限界に挑戦するようにサーフ
     ボードをあやつる。
     やがて、その一団は島陰へと消えていった。
        ×  ×  ×      
     午後−−−
     ギャラリーから歓声が上がる。
     彼方から、トップグループが戻ってきた。
     浜辺で待っていたセリカ、ターボ、
     裕司の姿を確認しようとするが−−−。
     裕司の姿は見えない。
     ガッカリする二人。
     関川は悠然と昼寝をしている。
        ×  ×  × 
     ほとんどのサーファー達が帰ってきたが、裕司の姿は
     まだみえない。

     大会の終わりを告げるようにギャラリー達が散らばって
     ゆく。
     降ろされるテラカップの旗。
     撤収されるテントや大会の役員席。
     沖を見つめたまま心配そうな表情のセリカ、ターボ。     
        ×  ×  × 
     南の海が一面、夕映えに染まる。
     今は誰もいなくなった浜辺に二人っきりのセリカ、ターボ。
セリカ 「……(うなだれて)」
     ターボが叫んだ。
     真赤な夕陽の中−−ウィンドサーフィンが一騎、帰って
     くる。
     コースを完全に逸脱しているが、確実に浜に向かってくる。
     そのセイルは裕司のもの。
     飛び上がるセリカとターボ。
     関川、二人の肩を抱き満足そうにうなづく。
     洋上で必死に操作する裕司。
     ゴールが近い。
     夕陽に赤い顔が波しぶきを受ける。
     その不屈の闘魂。
     傷つきながらも完走し終えた満足感に
     あふれている。
     燃えるような夕陽をバックに間島のよこした電文が重な
     って−−−。
     『キュウカハ オワッタ
     ミンナガ キミヲ マッテイル』


[89]成田空港
     到着する飛行機。
     日に焼けて、精悍さをとり戻した裕司が出てくる。


[90]同空港・表
     歩いてくる裕司。
     その表情は全てをふっきった様にさわやかである。
     タクシーが一台到着する。
     降りてきたのは夕子と合田。
裕司 「……」
夕子 「!」
     合田は気がつかない。
     互いに一瞥するが、裕司の足は止まらない。
     そのまま、すれ違うだけの二人。
     いや、互いに背を向けあったまま「サヨナラ」の手を挙げる。
裕司 「(心の声で)グッドラック」
     晴ればれとしたその表情−−−。


[91]駐車場
     懐かしい「YUJI」と書かれた車が止まっている。
     中から飛び出してくる間島。
裕司 「……(笑う)」
間島 「……(うなずく)」
        ×  ×  × 
     ヘルメットをかぶり、バイクで飛び出してくる裕司。
     主題歌「ユーガッタチャンス」叩きつける様に流れて−−−。


[92]ハイウェイ
     巨大なトランスポーターとロケーションバスが並走する。
     その真ン中から飛び出し、二台の大型車輛を従えて爆
     走する裕司。
        ×  ×  × 
     ツアーのステージで歌う裕司。
        ×  ×  × 
     ツアーグループをひきいてツッ走る裕司−−−。
     −−−スタッフタイトル流れる。