■ 1986.9 K2
長かったjobの打ち上げも終わって
僕たちは大勢でネオン街にくり出した
厚化粧でしわをかくした真黒なEye Lineの
おばさんたちが きらびやかなコスチューム
で踊っていた
……all nude show……nude dancer
客たちは大騒ぎで片手にBeer片手にに札束を
握って
彼女たちに声援を送り チップをはずむ
僕たちもその中に紛れて バカをやっていた

ステージでShowを終えたダンサーは
順番に客席をまわり 客をもてなしている…
けっこう卑猥な話
もちろん僕たちもただのスケベ面をして
彼女たちの話にチップをはずんでいた
「たまにはいいや!!こういうことも必要さ」
…………………

メインのShowが始まった

美女の一人が踊り始めた
すべての客が目を奪われた
誰よりも美しく大胆に
あまりに危なっかしく
しかしどう甘く見ても16、7の女の子だった
大騒ぎしていた熱がスーッと冷めていった
僕は彼女をじっと見つめていた
彼女は恐ろしいほどに笑顔をふりまいている
だけど瞳は泣いているように見える
だんだん見ているのが 苦しくなっていく
だんだん何かが悲しくなってくる
彼女と話がしたくなって
店が終わるまで 待った 待った……
僕は彼女に「どうして?」と聞いた
たくさん聞いた
彼女は言った「生活のためよ あんたバカね
いいじゃない別に……」
僕は少しだけ ムッとした
そして悲しくなった
一時間位して思った
いろんな人がいる いろんな人生がある
彼女は彼女のやり方で頑張っている
それでいいんだと思った
あまり運命なんてものは信じたくないが
やはりそういうことって
あるんだと思った
だけど それでいいんだと思うけど
だけど やっぱり
彼女の笑顔が見たいな と思った………