| 自分が負けちゃいけないもの+メジャー展開していくべき何かのバランス −−曲作りは詞を先に書いた後、曲を書くと聞いていますが実際はどういう順序で作っていくのか。 晃司 普通は曲を作って詞を書くっていうパターンが多いと思うけど、僕達はまず最初にタイトルだけをズラーッと書き並べて、その中からいいと思うものをピックアップしてそこから詞を作る。 そして曲を書いて、ここはどうしてもこうしたいから言葉を少なくしよう、という感じで進めていく。 まぁ『A-LA-BA・LA-M-BA』の様に最後までタイトルの決まらないもののあるんで作り方にはあまり拘ってはいませんけどね。 −−曲作りの為にN.Y.(ニューヨーク)に行ってましたよね。 晃司 N.Y.に行ったのは別にN.Y.を歌いたかったわけじゃない。 曲を作れる環境に行きたかった。 別にN.Y.でなくてもどこでも良かったんです。 日本にいる時は一人で街を歩いててもやっぱり呼び止められたりするでしょ、自分は普通のつもりでも、もうそれは普通の生活じゃない。 普通の生活が出来る所に行かなきゃどうしても、感覚が麻痺して普通の事が普通じゃなくなって、普通じゃないことが普通になってしまう。 都会の中での生活に近いものを書くために普通の生活が出来るN.Y.を選んだんですよ、向こうには友達もいるので。 街を歩いてたりしている時にバァーッと浮かぶ事もありますしね。 『終わらないSun Set』なんて殆ど最初に書いままです。 N.Y.の街をブラブラ歩いてて、自由の女神の近くを流れる川縁のカフェテラスで"よく歩いたなあー"なんて考えながらボーッとしてる時に出来た。 別に"書くぞー"っていう感じで書いたわけではない。 丁度夕日が沈む時間で、これはすごくリアルで情景の浮かぶ曲だと思う。 僕の曲っていうのは情景が浮かんでくるものってあまり多くないでしょう? だからこういう曲があってもいいんじゃないかと思って。 でもあまりそういう部分に近づけたくはないですね。 情景が浮かぶ方が聴く人も直接的に感じられるとは思うけど、僕は基本的には『サイケデリックHIP』みたいな具体的でない感情的な歌い方が好きです。 ただ自己満足、マスターベーションになってしまったら、プロでやってる必要はないから。 ミュージシャンとかアーティストっていうのは自分が絶対負けちゃいけないもの+メジャー展開していくべき何かを上手く組み合わせてバランスをとっていかないと、バランスがくずれてひっくり返っちゃったり、"イヤ、僕はマイナーでいいんだ"っていう事になってしまう。 だから、そういったバランスってすごく大切なんだと思います。 −−PATI PATI連載中の『K2』を読んでいくと今回のアルバムの歌詞の基礎になっているな、という感じの原稿がいくつかあるんですけど。 晃司 短い時間でレコーディングしなければならない中で"2週間N.Y.に行って来ます""じゃあ2週間で10曲書いて下さい"って言われても、それは到底無理な話で、一日一曲のペースなんて一日中座ってたって書けるもんじゃないですから、そういう時の為に『K2』を書いているんです。 家で毎日感じた事などを書きとめておけばいいのだろうけど僕は「いつまで」っていう期限がないと絶対やらないから。 そういう点で『K2』は締め切りがあってどうしたってその期日迄に必ず一枚書かなければならない。 月に一枚ずつ、一年間書いて来たものを振り返ってみると、この時はこういう事を感じていたんだ、みたいな事がすごく新鮮に感じられて"この言葉いいから使ってみよう"っていう感じでピックアップしてみる。 だけどいくらその部分が良くてもただそれだけでストーリーが作れるわけではないですよね。 "愛してる"という言葉を表現する場合、"君を離したくない"とか"このまま抱きしめていたい"っていう言葉でも、その気持ちを伝える事が出来るわけで、そういう時に『K2』から"これはこの意味とピッタリ合うし、言葉の言い回しもいいな"っていうものを探してくる。 またこれからも『K2』は使っていく事になると思います。 −−今回晃司の書いた詞の中に「LOVE」という言葉はあっても「愛」という言葉は見あたらない。 「LOVE」と「愛」ではフィーリングもニュアンスも全く違ってくると思うし実際に歌詞に当てはめていく中で「愛」と「LOVE」ではどういう違いがあります? 晃司 僕は大体"愛してる"なんて言えやしない。 "愛が全てだ"なんて恥ずかしくて絶対に唄えないですよ。 でもこの前、大友選手(康平・ハウンド・ドッグ)に言ったら"オマエはまだガキだからわからないんだよ"って言われましたけどね。(笑) でも僕は"愛が全てじゃない"って唄いたい。 でもこれは好きな女の子を他の事の為にほったらかしにする、っていう事では無い。 まぁそれはその人のテレ方の違いかなんかで、僕は直接的に言うのが苦手な方だ、というだけの事かもしれないけれど! −−晃司はすごく色々なアーティストの音楽に興味を持っていてそこから受ける影響も多分に有ると思います。 自分が曲を作る立場になって、外から受けた影響が自分の曲に反影されて、曲がそっくりだ、なんていう事になってしまうかもしれない。 他のアーティストから影響を受ける事、また「○○の曲に似てる」と言われるのは怖くない? 晃司 そんな事はないと思う。 まぁ人によって、感じ方がみんな違うと思うけれど、僕の曲はあくまでも僕の曲であって、他人のものをコピーしたものじゃないし、そんな事をしたって仕方がないよ。 ただ、前にも言ったように、「いいもの」はやっぱり「いいもの」だから。 例えば「プリンスのここがいいなぁ」って言っても、言っちゃうより言わない方が自分にとって有利なわけじゃない? だからアーティストは皆その手の事は口に出さない。 でも言う言わないはどちらでもいいし、いいものを吸収して自分のフィルターを通して外に出す時にその人のものになっていれば問題ないと思う。 僕ってそういう所の計算は、どうもめんどくさいから"井上陽水っていいね"って言っちゃったら次は、井上陽水の要素が入ってくる。 でもそれが"自分"であればそれでいい。 まぁそこで止まってしまえば"アイツは○○のコピーだ"っていうだけものだけど。 でもハッキリ言って僕はそんな所を目標にしていたくない。 僕達の歌の根底っていうのは、どちらかと言えば演歌じゃなくて洋楽なわけじゃない? それに憧れて音楽始めた以上、皆それぞれに夢を持っていて、その憧れに一歩でも近づきたいと思ってるはずですよね。 例えば日本の中で一番強い武器が機関銃だとして皆必死にたたかってるんだけど、外にはすごく大きな大砲を持っている奴が沢山いて、せっかく機関銃で日本を制覇しても結局外へ出たら大砲で一発でドカンとやられて"ドーモスイマセン"っていう事になってしまう。 どうせ勝負するなら最初から目標を"外"に向けようと思っている。 |