Vol.18  1987.6
#5



KOJI IN ITALY
その2ケ月間、何が起きた?!
カルチャーショック。
刺激的なイタリアロケーション。



むこうの連中のプロ意識って本当に凄いと思った

 文化の違う連中と仕事をして、言葉の障害っていうのはもちろんあったけど、"考え方の違い"っていうのかな。
そういうものを強く感じたね。
打ち合わせでスタッフと意見がくい違うと、「それは日本人的発想だ」「だったらそ
れは、イタリア人的発想だ」っていう様になってしまう。
そうすると監督が一言いうわけ。
「これはイタリア人である自分の映画なんだから、君の日本人的発想はつかえない」って……。
日本映画って、監督より演じる俳優の名前の方が先行しちゃったりするけど、むこうでは完全に"監督の映画"だからね。
監督がいかにして、将棋の駒の如く役者を動かすかでしょ。
"監督には絶対服従"っていうところがある。
 でも、僕のことを全く知らないスタッフが僕を"吉川晃司"として見るんじゃなくて、"日本人"として見て評価する−−ということが、やっぱり気になった。
だから、「僕は僕の形でやりたいんだ」って言ったんだ。
ずい分もめたりしたけど……。
 彼等、仕事とプライベートは、はっきりしてるね。
「俺は仕事より飯の方が大切だ」って言って、撮影の途中でも食事の時間はきっちりとってる。
 プロ意識が凄いんだよ。
撮影時間が2時間延長された時も、その2時間分のギャラを上げてくれって、マネー
ジャーと一緒に交渉してる。
「自分は素人には出来ない事をやってるんだから、それに対する報酬を受けるのは当然だ」って。
というのも、彼等は撮影の何ケ月も前からレッスンして、準備をしてる。
僕なんか、日本を発つその日の朝までレコーディングしてて、映画の為の準備はほとんど何もしてなかった。
それじゃあ、戦おうにも勝負にならない。
コンサートのリハーサルと一緒だよ。
リハーサルなしで、いきなりステージをやる、っていったってたちうちできない。
やるからには当然、全力投球はしたけど、"これなら出来る"っていうところまで準備していかなくちゃいけないな、と思った。



ラブシーンは苦手。
そういうのって好きじゃない。

 撮影の初日。
いきなりラブシーンを撮るっていうの。
そういうところって、気をつかってくれてもいいんじゃない?
からみのないシーンから先に撮るとか……。
そんなの全然なかった。
「来ていきなり、やらせんなよ〜」っていう感じ。
あがちゃって、あがちゃってどうしようかと思った。
 ラブシーンは苦手。
プライベートの時からして、あまり好きじゃないし。
 え?本当だよ。
僕はどうも、すごいスケベに思われてるから困るんだけど。
わりと淡泊だと思うよ、男にしては……。