TAKE IT EASY Story
scenario #4

坂道の道路
     走ってきたサイドカー、坂の上で急停車。
     裕司、降りる。
     困ったように苦笑する裕司の顔。
     坂の途中で、牛が寝ころがって道路を閉鎖してしまっている。
       (牛の声)


道端
     サイドカーで走ってくる裕司。
     数日の一人旅で、顔も服もバイクも埃にまみれている。
     突然、改造したバイクやジープの一団が猛スピードで走ってきて、去る。
       (クラクション)

裕司  「……」
     続いて、馬が1騎、一団を追いかけるように全速で走り過ぎる。
     馬上の男は、仲根。
     ポカンとして見送る裕司。
裕司  「……西部開拓史」


牧場
     サイドカーを停めて、降りる裕司。
     木造りの家。
     牧舎。
     サイロ。
     乳牛のなき声はするが、人の気配はない。
     裕司、見回して首を傾げる。
     井戸水で顔を洗い、口をゆすぎ、飲む。
     と、−−−どこかで人の呻き声がする。
裕司  「……!?」
     歩く、探す。
     男が1人、倒れている。
     裕司、駈け寄る。
     男の顔は殴られて赤く腫れている野村圭吾。
     圭吾、意識が戻った途端、裕司の背後を見て、ビックリ。
     裕司、振り返る。
     その鼻先に、馬の鼻ズラ。
裕司  「−−−!」
     馬上の男は、仲根。裕司をジッと見下ろす。
     見返す裕司。
     間。
     その間に、圭吾、そおっとはって逃げ出そうとする。
     しかし残念ながら、仲根の乗っている馬の足にけられて再びダウン。
       (馬のいななき)

仲根  「何か言えよ」
裕司  「何て?」
仲根  「普通、今日はってんじゃないか」
裕司  「こんちは」

     戻ってくる裕司と仲根。
裕司  「ケンカね!?一晩中?」
仲根  「まァな。オールナイトゲーム」
裕司  「遊び?」
仲根  「暇な時な」
裕司  「水もらったよ」
仲根  「ああ」
裕司  「近くにメシ喰う所ないかな」
仲根  「あるよ。20km先」
裕司  「(肩をすくめて)……」
     サイドカーを押す。空腹でフラッとする。
仲根  「馬力出ない?」





牧舎の中にある仲根の部屋
     簡単な朝食と巨大なジョッキの牛乳。
仲根  「飲めよ」
裕司  「太るもんはダメ」
仲根  「絞りたてだぜ」
裕司  「駄目なもんは駄目」
仲根  「ボクサーじゃないんだろ」
裕司  「なんで?」
仲根  「(両手でポーズして)ボクサー」
裕司  「……(ジッと見て、頷く)道理で」