TAKE IT EASY Story
scenario #10

同・外のエレベーターホール
     笑いながら、裕司と仲根がくる。
裕司  「最高!彼女」
仲根  「惚れた?」
裕司  「ゾッコンですよ」
仲根  「やばいよ、あいつは」
裕司  「何で?」
     その時、バイクの爆音。
     2人、駆け出す。
     仲根が、窓ガラスから下の路上を見る。
仲根  「−−!?」


−−ホテルの通用門の前の路上
     数台のオートバイやジープ。
     そして裕司のサイドカー。
     10数人の男たちが群がっている。


同ホテル・階段
     駆け下りる裕司と仲根。






























































同ホテル・通用門の前の路上
     出てきた麻弓とかえでを、10数人の男たちが迎える。
     サイドカーに圭吾。
     バイク団の頭が健次、ボクサーの卵たちの頭が、大男の和人。
     歓声をあげる。
麻弓  「(圭吾に)どうしたの」
圭吾  「渋くてカッコいいだろう。
      スターの送り迎えにゃちょうどいいと思ってな」
麻弓  「(サイドカーに乗り込んで)わざわざ作ってくれたの」
和人  「輸入したんだよ、隣の農協から」
     ドッと笑う男たち。
     全員、出発−−の寸前、仲根と裕司が駆けてくる。
     バイクやジープから飛び降りて、2人と対峙する男たち。
     裕司、麻弓を見る。
     プイとそっぽ向く麻弓。
仲根  「いつからカッパライまでやるようになった」
     圭吾、和人の陰に隠れる。
健次  「珍しいモンだから借りてるだけよ。
      今度お前ン所突っ込む時に持ってくよ」
麻弓  「ちょっと、どういうこと」
健次  「気にすんな」
圭吾  「(裕司をさして)こいつのもん」
麻弓  「−−(ムッとして圭吾を見る)」
裕司  「いいんだよ、気に入ったらプレゼントするよ」
麻弓  「冗談」
     と、サイドカーから降りる。
和人  「気に入らねェな、俺たちゃ。乞食じゃねェぞ」
仲根  「変わりゃしねェ」
     和人、いきなり仲根にハンマーパンチをふるう。
     仲根、寸前でダッキングして、左ボディーブローを三発
     和人にぶち込む。

     テクニック、スピード、パワーとも卓抜している。
仲根  「(うずくまる和人に)しょうがねェな、これじゃスパークリングに
      ならねェよ」

     他の屈強な男たちが襲いかかろうとするのを健次がとめる。
健次  「ケガでもさせたらヤバイんじゃないの?スターさん」
圭吾  「東京じゃスターかもしれないけど、こっちじゃ、スターっていうのは
      麻弓のことをいうんだ」

     麻弓が、いきなり圭吾を張り飛ばす。
麻弓  「何度も恥かかすんじゃないよ」
     と、ジープに飛び乗る。
麻弓  「帰るよ」
裕司  「待てよ。ちょっと話さないか」
麻弓  「(振向いて)笑うわよ。ちゃんと話なんかできるの」
     裕司を故意の眼で見ているかえで。
裕司  「(ニャッと)おっトゥ。やっと話しかけてくれたね」
麻弓  「遊びにきたんなら、もっとガキっぽい所で演説ぶったらどうなの。
      こんな所でカッコつけたってはじまらないよ」
     ジープの運転手、スタートする。
     裕司、サイドカーに飛び乗る。
     かえでが裕司を止めようとしてサイドカーの前に立ちはだかる。
     裕司のバイク急発進。
     健次のバイクに接触。
     健次のバイク倒れて破損。
     走っていく裕司のサイドカー。
     乱闘の集団から、何人かが脱け出し、それぞれのバイクに乗って
     追う。

     健次、通りがかりの50ccのパッソーラに飛び乗って追う。
     基盤の目のように走る道路。
     走るジープ。
     追う、裕司のサイドカー。
     奥の交差点を曲がっていく。
     さらにそのあとから、3台のバイク。
     奥で曲がる。
     健次の50ccのバイクがその後に続く。
     直後、手前の道を横切るように、ジープ、サイドカー。
     健次たちあわててUターン。
     ジープを追うサイドカー。
     交差点。
     走り抜けるジープ。
     裕司のサイドカーもそれに続こうとした時、突然、横から3台のバイクが
     サイドカーの前を横切る。

     あわてて、ハンドルを切る裕司。
     バランスを失って転倒。
     放り出される裕司。
     すぐ後ろから追跡してくるオートバイが迫る。
     真ん中の健次のバイクが裕司をまきこむかと思われた瞬間、
     健次のバイクがジャンプ。

     裕司の頭上を飛び越え、着地とともにスピンターンして止まる。
     裕司、一瞬、血の気が失せたが、大きなため息とともに、パチパチ
     と拍手。

     健次、携帯無線で何か応答して、裕司に近づく。
裕司  「よく、そんなチンケなバイクで。
      アーティストだね、まったく」
健次  「ただの曲乗り芸当」
裕司  「こんな所でくすぶってるの勿体ないよ」
健次  「お前さ、……ちょっと何かヘンなヤツだな」
裕司  「そっちだってかなり変なヤツだよ。
      仲根にしても、マキュウにしても、……お宅も。面白い街じゃない」
健次  「もっと面白い人がお前に会いたいって」
裕司  「……ヘェー」
健次  「青井って人」