TAKE IT EASY・EXTRA Story

scenario2 #16
第四稿(月刊シナリオ・シナリオ作家協会版)

通り

     駈ける裕司。
     市電を追いかけて追いかけて、ついに追い越して、
     次の停留所で待つ。
     市電が到着して、裕司、乗りこむ。
     発車。
     が、別の出口から、麻弓は下りて、バスに乗りかえていた。
     市電を飛び下りる裕司。
     バスを追いかけて追いかけて、ついにその開いた窓に飛びつき
     しがみつく。


走るバス、車内。

     窓から乗車してきた裕司を、乗客がポカンとして見ている。
     知らん顔の麻弓。
     裕司、運転席の料金箱に百五十円を入れて、麻弓の脇に立つ。
裕司  「(囁く)さっき忘れてたけど、キスする時は目を閉じてするからさ」
麻弓  「……自衛隊呼ぶわよ」
裕司  「サイコー」
     裕司、何気なく客席を見る。
     思わず顔をそむける。
     あの煙草屋のおばあちゃんが、乗り合わせていた。
     超肥満体に喪服、数珠。
おばあちゃん 「……一途だねェ」


バスの終点

     山の中腹。
     下りたのは、麻弓と裕司の二人だけ。


山路

     麻弓、ズンズン歩く。
     珍しそうに辺りを見回す裕司。慌てて追う。