ユー・ガッタ・チャンス Story
scenario #3
[12]カフェレストラン 合田のすごい食欲。 合田 「何だその程度の脱線かよ」 裕司 「会社で決めたディレクターじゃダサイんですよ。 だから僕、合田さんに撮ってほしいんです」 合田 「プロモーションビデオってのはよ、映像のタレ流しだから な、水洗便所だからよ」 裕司 「ダメですか」 合田 「お前は別だよ」 裕司 「じゃOK?」 合田 「お前となら何かできそうな気がする。スリラーもブッとぶよ うな奴がな。映画をもて遊んで、映像をなめきった奴等が ぶったまげて目ン玉とび出すようなやつをやろうじゃない か」 裕司、感激して口笛を吹く。 | ||
[13]早朝の街 裕司の曲、イン。 ひた走る裕司。ジョギングスーツ・フード。 | ||
[14]青空の下 マンション屋上で、踊りのレッスンをする裕司。曲は「ノーノ ーサーキュレーション」 ひとり、踊りまくる。 裕司の声 「ストップ ストップ!!」 | ||
[15]Hビル・スタジオ [14]の「ノーノーサーキュレーション」がかぶさってツアー のリハーサル。 裕司、中断して、打ち合わせ。(アドリブ) 裕司 「(応援メンバーに)あのディストーションもう少し軽目にして頂 けますか。オーバードライブッぽく(他のメンバーに)じゃBから」 再開するが、すぐ中断してしまう。 裕司、バンド「パパ」の応援メンバーを鋭く見て、出てゆく。 呆気にとられるバンドメンバー。 間島が慌てて追う。 | ||
[16]同・廊下 間島 「裕司!!」 裕司 「彼、違うんじゃない。ダメとはいわないけど」 間島 「今さら何言ってるんだ。神戸公演は明日だぞ」 裕司 「バンドはオリジナルのままでいこうよ」 間島 「いや、彼がいた方がハリがあっていい。音が広がってるじゃな いか」 裕司 「だけど深くなんない」 間島 「大丈夫、いけるよ」 裕司 「いやだよ、俺」 間島 「ふざけるな」 裕司 「なんだよ!」 間島 「お前、どうかしてるんじゃないか。勝手に合田さんに話つけた り、……いいか、お前はまだデビューして一年しかたってない んだぞ」 裕司 「もう一年たったよ」 間島 「まだ一年だよ!」 裕司 「わかってないなぁ」 間島 「お前こそわかってない!……モノには決められた順序っても のがある。決められたレールがあるんだ」 裕司 「レールははずれてみきゃいい景色は見えないよ」 間島 「ああ、いつかはな。だけど今は、決められたレールをやみくも に走るシンドサを身体で感じなきゃいけない時期なんだよ」 裕司 「……」 間島 「そりゃ、レールから外れるのはカンタンだぜ。だけど元のレー ルに戻るのは、そうラクじゃない。……とにかく今は我慢しろ」 裕司 「(エレベーターにのりこみ)……いやな土曜日だな」 | ||
[17]海岸をバイクで飛ばす裕司 | ||
[18]鎌倉・材木座海岸 バイクを止めて、ウィンドサーフィンの練習風景を見ている裕 司。 再びバイクをスタートさせる。 | ||
[19]ウィンドサーフィンクラブ バイクでやってくる裕司。 車を止め、店の中に入ってゆく。 二階のテラスで、裕司に気がつく女がいた−−。 × × × 裕司、店に入ってくる。 店員の小森レイ子に声をかける。 裕司 「合田さんって人、知ってます?」 レイ子 「(不機嫌に)またァ、今日で二人目よォ」 シルエットの女が店の外をうろついている。 レイ子 「探してんのよね、私も。テラカップに出るのよ彼。うちの店 からパーツとか全部発送しなくちゃいけないの。連絡とれな いと困るのよね」 裕司 「(立ったまま)最近はいつでした?」 レイ子 「今週の初め」 裕司 「僕と同じだ」 レイ子 「電話あってさ、ちょっとややこしい話になったから当分来れ ないって」 裕司 「ややこしい話?女かな?」 レイ子 「横浜遊戯楼って知ってる?」 裕司 「横浜ユーギロー?何それ」 レイ子 「よした方がいいわよ。やばいわよ、あなたも。(マジマジと裕 司を見て)どっかで見たと思ったらベストテンでてるでしょ!」 | ||
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[20]Hビル・スタジオ 裕司の帰りを待っているバンドメンバー。 電話をかけている間島。 間島 「え?そっちにも行ってない。−−そう、どうも」 別のダイヤルを回す。 | |
A ウィンドサーフィンクラブ 裕司、ポスターにサインをして出てゆく。 | ||
[21]ウィンドサーフィンクラブ・表 出てきた裕司に声がかかる。 女 「ユウジ、タミカワ?」 振り返る裕司。 君島夕子−−−知的で美しい。 |